Kimono-Joyaプロジェクト

Kimono - joya

“新たな大陸を探すように西へ伸び,日の沈ずんでいく国、スペインと長く伸びて大陸に太陽の光を取り込むかのように伸びる東の国、 日本。このユーラシア大陸にある両極端の二つの国、西と東と地の果てを結びつけるのがこのKIMONO-JOYAプロジェクトである。人の体にも注目したい。“私たちの足の存在がこの大地と人間の体とを分ける境ではないだろうか。そしてまた、私たちの体と外の世界との境とは肌ではないか。” 世界と我々を隔てるものが肌だとすると我々の体を包む着物は私たちのもう一つの肌ではないか。人間が常に芸術として扱ってきたもう一つの肌、それが着物であろう。“ カルロス ムニィスと根岸文子の企画するKIMONO-JOYA展。もう一つの肌である着物のプロジェクト。美しい日本の帯は芸術作品として世界中で認識され、何百年という伝統の中で受け伝えられたその文化は、私達西洋人の目には、前衛の芸術作品として映るのである。その豪華絢爛な帯を隠しその上に羽織る厚い絹の黒い羽織。その羽織がベースに使われているのがKIMONO-JOYAプロジェクトである。このプロジェクトの羽織の色は深い黒、そしてTの形の幾何学的な物である。その形は、外からの光の侵入を巧妙に妨げることで、絶妙な上品な空間を作り出す日本の伝統建築を思い出させ、多くの作家が、この幾何学的なTの形に興奮し、制作に取り組んでいった。また、夢の世界、想像の世界に招待してくれるような深い黒、真っ黒な夜のような幻想の世界に惹かれていった作家も多い。

イグナシオ ゴメス デ リアニョ